試写会でベイマックスを見てきました。日本語字幕の2D上映。

どこまでがあらすじで、どこからかネタバレなのか不安だったのですが、2014年11月24日・29日にNHKで放送された「魔法の映画はこうして生まれる~ジョン・ラセターとディズニー・アニメーション~」や鉄拳さんのパラパラアニメで、あらすじ…っていうか、かなりネタバレしている…?と感じたので、改めて感想を書こうと思った次第です。

あらすじも読みたくないよ!という方向けに書いた、ネタバレなしを気にしすぎて、全体的にふわっとしてしまった感想はこちら
試写会でわかった「ベイマックス」を4DXで見るべきたった1つの理由

ディズニー映画「ベイマックス」のあらすじ

兄の形見のケア・ロボットに託された、本当の“使命”とは・・?

幼い頃に親を亡くした14歳の天才少年ヒロは、唯一の理解者である優しい兄タダシを謎の事故で失う。ある日、タダシが人々の心と体を守るために開発したケア・ロボット<ベイマックス>が彼の前に現れ、心に深い傷を負ったヒロの声なきSOSをキャッチする。おせっかいなほど真剣にヒロをケアするベイマックスに、ヒロも次第に心を開いていく。

ヒロの発明品が盗まれたことがきっかけで、ふたりは兄タダシの死が事故でなかったことを突き止める。兄の仲間たちの協力を得て、彼らは危険をかえりみずに真相に近づいていく。人を傷つけることを禁じられたベイマックスは、ケア・ロボットとしての能力を駆使してヒロを守り抜こうとする。だが、ヒロはまだ知らなかった。兄タダシがベイマックスに託した本当の使命を・・・。

私は映画を見るまで、両親がいないことも、タダシが亡くなることも、知らなかったので極力バレナシ感想の時にも言っていいのか悩んだのですが、改めて確認したら公式サイトのストーリーにガッツリ書いてありました(ノ∀`)

人はいつ死ぬと思う?

心臓をピストルで打ち抜かれた時でしょうか、猛毒キノコスープを飲んだ時でしょうか。

1994年に公開された「ライオンキング」。
自分のせいで父が死んでしまったと思いこみ現実から逃げ出した少年が、過去と対峙するという話でした。
2013年に公開された「ウォルト・ディズニーの約束」。
メリーポピンズの制作過程を描きながら、メアリーポピンズの作者パメラ・トラバースが、ずっと心につかえていた父の死を受け入れるという話でした。

物事の捉え方は多様で、この見方が映画のすべてではありませんが、これまで公開されたディズニー作品で、私は様々な死を疑似体験してきました。
それらの心理描写がとても真摯に描かれていたことに気づいたのは、私自身が大切な人の死と向き合った時です。
現実は映画のようには進みません。しかし、これらの作品が私に生きる勇気を与えてくれたことは確かです。

そして「ベイマックス」は、私に希望を与えてくれた大切な作品の1つになりました。

2014年に公開される「ベイマックス」でも死が描かれています。
  • 幼いころに訪れた両親との死別
  • 支えあって生きてきた兄との死別
  • 現れた「ベイマックス」
幼いころの死別は、兄弟に異なる影響を与えます。
両親と死の記憶にある兄タダシと、それらの記憶が無い弟ヒロ。
映画を見ずとも、ベイマックスを生み出したことからも、兄が思う弟への愛情を汲み取ることができます。
また、弟は両親がいない環境で暮らしながらも、死とリンクすることはあまりないのでしょう。覚えていないので。

そして、訪れる兄の死…天涯孤独、ひとりぼっち。
大切な人の死がもたらす、絶望と虚無、それでもやってくる明日。
思わず「あるあるw」と涙するほど、気だるい悲しみの日々をとてもリアルに描いています。

どんなにひとりだと感じていても、それは幻想。
絶望から顔を上げれば、そばに居てくれる人がいる事に気づきます。
それは現実で私に起きたことでもあり、ヒロに起こることでもあります。



彼の前に現れたのはベイマックス。
まどろっこしく、愛らしいケア・ロボットです。
映画「ベイマックス」の原題はBig Hero 6。
タイトルの通りヒロはヒーローになり、5人の仲間が現れます。

ここまであらすじとして公開していた事に驚きを隠せませんが、この先のストーリーが私の心に多くのものを残し、生きていくエネルギーを与えてくれました。

ヒロはとても優しくて強い子です。
いくら天才と呼ばれても14歳のヒロには幼さが残ります。
でも、ヒロはとても優しくて強い子です。

この作品が私が生きている時代に公開されたことに、心から感謝しています。
そして、未来に生きるヒロの選択を、劇場で見られたことをとても幸福に思います。

ベイマックスのラストを明言しないものの、最高のエンディングを匂わせる女ツイッタラー風に表現すると「はぁ…好き…

なぜ生きるのか

子どもに会ったその日から、自分が子どもより先に死ぬことを意識するようになり、子どもに何を残せるのかを考えています。
 
私はタダシのように、ベイマックスを作ることはできません。 
ムファサのように、星となり見守る王になることもできません。 

これまでの私が出した結論は、世の中にあふれている楽しいことを子どもたちに伝えること。体験し、記憶に残すこと。
どんなにつらいことがあっても、死ぬのが馬鹿らしくなるほど、楽しいことを伝えること。
もし、その場に私が居られなかったとしても、子どもたちが笑っていられるように。
 
それが私の「守る」です。
そしてこの思いは、この映画を見てより一層強くなりました。

この映画の中で、タダシはベイマックスになにを託したのでしょうか。

生き続ける勇気

何度でも言います。ヒロは強い子。
しかし、最初から強い人なんていません。ひとりで生きていける人もいません。
トイ・ストーリーのウッディもずいぶんと悪いやつでした。

ヒロの心が移り変わるプロセス、心理描写、それを的確に表現するアニメーション。
これらのこだわりは、NHKで放送された「魔法の映画はこうして生まれる~ジョン・ラセターとディズニー・アニメーション~」でも取り上げられていました。
シリアスとコミカル、緩急と間は、静かな日本のシアターがどっと湧くほど絶妙です。

原作はアメコミの「Big Hero 6」。
そして見る人が見れば、アクション映画でもあるベイマックス。
というより、本来はアクション映画なんだろうなと思うベイマックス。
見るなら絶対4DXがいいアクションシーン満載のベイマックス。 



ここ数年のうちに大切な人をなくした方は、鑑賞中ある程度のダメージをうけることを覚悟したほうがよいでしょう。
しかし、私にとっては、胸をえぐられながらも、よっしゃ!生きるか!!と前を向ける作品でした。
ヒロの強さが、私にエネルギーを与えてくれました。

日本のエンドロールで流れるAIさんのStoryも、涙を誘います。
また、Storyが10年前の曲だと気づき、老いを感じます。

なにがどう強くて、なににそんなに胸を打たれて、どんなラストが待っているのかを、大きな声で叫びたいですが、まだ少し黙っていようと思います。 

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